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投稿1363 | ■Re:1362 50mm と 150mm につきまして 日浦 2009/2/23(月)06:21

h.h.様.こんにんちは.

お尋ねのレンズの件,私も常々思うところがあり,調べておりました.世間では(Wikipedia 等にも書かれていますが)
 東京光学:100mm F2.8, 75mm F2.8MC
 カールツァイス・イエナ:80mm F2.8MC
 富岡光学:80mm F2.4MC
 ノリタ:150mm F3.5, 300mm F4.5
とされています(他は不明)が,一次資料(いわゆる証拠)がなく,ある時から引用の繰り返しで定着したように思っています.

関係者を通して当時の方々に聞いていただき調べてもらったのですが,今のところ資料はなく,証言ベースのものとなっておりますが,敢えてここに記述させていただきます.

その結論から言いますと,1976年までのS2/EC用のレンズは東京光学・ノリタの2社からの供給で,東京光学(100/2.8, 75/2.8)を除くと,基本的に全てノリタ光学の製造であるということが現在私の得ている情報です.私のゼンザノンの紹介記事も修正したいと思っていますが,世間では上のように言われていることもあり,できればさらなる資料があればとは思っています.1977年からは以下の経緯により富岡光学(150mm F3.5MC),カールツァイスイエナ(80mm F2.8)が登場し,富岡光学からの供給は ETR 用のレンズでも続きます.

歴史的な経緯は以下の通りです.
ブロニカではまずニッコール以外のレンズ供給先を確保するためタムロンに問い合わせますが,タムロンからは by TAMRON の表記が必須と言われ断念したそうです.そこでノリタ光学に打診され,150mm F3.5, 300mm F4.5 が登場します.また東京光学から 100mm F2.8 が供給されます.

その後さらにレンズを拡充するためノリタから一式加工(レンズ・鏡枠・鏡筒・組み立て)で 40mm F4, 50mm F2.8, 80mm F2.4, 200mm F3.5 が供給されます.80mm F2.4 は,ノリタ66の 80mm F2 をベースにしているとの情報があります(どちらも5群6枚のガウス型).40mm, 50mm, 80mmF2.4 の外寸が完全に同一でそっくりであるということにもこれで説明が付きます.また一方,東京光学からは 75mm F2.8 が追加されます.

ということで,1975年時点で全てノリタもしくは東京光学からの供給と言うことになるのですが,その後吉野善三郎名義の東京光学株が事前了解なく売却されたということで東京光学は取引停止,また続いてブロニカ倒産の噂が流れてノリタも取引停止になります.これが,一時はゼンザノンシフトを強めていたブロニカのレンズが最終期にニッコールへ軸足を戻したかのように見える原因のようです.

取引停止の状況でレンズ確保を行うため,その後は富岡光学を中心とした供給体制に(富岡光学の社長が,あるブロニカ設計者A氏の後輩という縁で)移行しますが,これ以降は一括発注ではなく,部分的な加工をそれぞれの専門業者に委託するという形が中心となります.鏡枠加工・鏡筒加工(小松光機:タムロン等の下請け),玉込め(広田製作所:日本光学の下請け),他に松本精機や前野光機などに各工程や部品を発注し,また組み立て等はブロニカ社内や協進光学が行うものもあるなど複雑な体制になります.

一般にカメラ・レンズは(日本光学など比較的一貫製造主義である会社の製品を除き)板橋区などの光学産業を支える膨大な中小企業が複雑に協力・取引して作られているものが多く,数の少ない中判は特にそうであろうと思われます.完全な内製品というものは少なく,一般には最終組み立てがどこで行われるのか,または取引(発注)の形態がどのようなものであるかによると思います.

レンズについては,どこが光学設計をしたのかという部分が最も気になる部分ですが,これは製造工程との相性と言うこともありますから,当時は設計のみ外部委託でレンズ研磨は別会社ということは少なかったのではないかと想像されます.

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