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投稿1580 | ■Re:1576 XA広角ビネッティング 日浦 2015/9/18(金)01:34

efunon さま,興味深い考察ありがとうございます.

レンズの明るさは,とどのつまり,絞りと,そこからフィルムまでの光学系によって完全に決まってしまいます.像面を水平面としたとき,像面上の光量は,像面上に立って,そこから光が注ぐレンズ側を見た時に,そのレンズ側の明るい部分の見かけの大きさと,その角度(高度)だけで決まります.F値が固定のズームを作るには,後群を固定し,そこに絞りを配置すればOKです.絞りの位置が前後する場合は絞りを開閉して補正する仕組みが必要になります.

光学の理論では,透過率や反射率が100%のレンズや曲面鏡であれば,それを何段階介してシーンを見ても,そのシーンの見かけの輝度は変わらないとされています(輝度の保存則).ケラレのないワイドコンバージョンレンズやテレコンバージョンレンズ(フロントコンバーター),クローズアップレンズでは実効F値が変わらないのが,その効果の1つです.街角の交差点のカーブミラーを見ても,その先が妙に明るくなったり暗くなったりしないのも同様で,外付け光学系により画角が増えるとそれに比例してその先で対応する光束が細くなり,光を集める能力という点では互いに相殺しあうためです.周辺光量も同じで,ケラレがなければフロントコンバーターやクローズアップレンズで像面上の光量比は変化しません.ですので,周辺光量の豊富な標準レンズにワイドコンバーターや魚眼コンバーターをつけて広角レンズにすると,対称型の広角レンズに比べ周辺光量分布が豊かになり,これがレトロフォーカス型レンズで周辺光量が多いと言われることに対応しています.

おっしゃるような,累進的な設計は魚眼レンズで発生していますね.魚眼レンズは画角が広い割に周辺光量が豊富ですが,これは画角(立体角)に対してフィルム上の面積が小さいため,エネルギーが小さな面積に集まることによって生じます.レンズの中身をブラックボックスとして考えても周辺光量分布は求めることが出来,これは,レンズに入射する光束の太さ(像面上の任意の位置に点光源を置いた時,レンズから射出されるビームの太さ)と,その点の立体的な画角(フィルム面上の面積と,それに対応する立体角の比)で決まります.口径が小さくても,より広い角度から光を集めるレンズ(広角レンズ)はフィルム面上に豊富な光量を与えることが出来,逆に,正面方向に近い僅かな角度の範囲の光しか像面上に届けない望遠レンズはいくら口径が大きくても暗くなってしまうことに対応し,魚眼レンズでは周辺で画角が圧縮されることが光量増加に寄与しているということも出来ます.

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