パジェロは走行中の視界がよく,また縦長の左右ミラーによりリアタイヤ付近も路面近くまでよく見えますので,駐車などの取りまわしは非常に良好で,あまり大きさを感じさせません.しかしやはり背の高さゆえ,背後の真下は見えません.子供が遊んでいたりすると危険ですし,幅があるので後ろの車に寄せるのは簡単ではありません.そこでリアアンダーミラーもしくはリアビューカメラがオプションで設定されています.リアアンダーミラーはタイヤの後ろまで出っ張ったタイプでよく見えそうですが,やはり大きく邪魔な感じは否めません.また純正のリアビューカメラは純正モニタとのセットオプションなので,カーナビを既に所有している身には無駄が多く,高価なものです.実は購入後その足で,ディーラーの隣のオートバックスにて直径 10cm ぐらいの小さな凸面鏡を購入し,吸盤でリアガラス裏側に張っていましたが,やはり像が小さすぎてよく見えませんでした.そこで自前でカメラを付けることにしました.
カメラはマルハマというメーカのもので,様々な形状や画角のものが出ています.その中から,車内に取り付けるタイプのMCD-25Tという型番のカメラをオークションで購入しました.価格は 6,500円+送料でした.
なぜこのカメラにしたかというと,車外取り付けのものは見た目にも目立つし,洗車のときなど(特に機械洗車など)にいちいち気になると思われたからです.また車内への線の引き込みも防水を考える必要があります.車外につけても,依然としてリアタイヤは突出していますので,どのみちリアタイア下はきっちり見えません(タイヤの向こうをちゃんと見せるには,ルーフ後端から 30cm〜40cm ぐらい離す必要があるでしょう).また,モデルがZRのためリアドア上にディフレクタが装着されていないということもあります.リアタイヤを背負っているとはいえ,リアガラスは最近のミニバンやSUVに比べれば立ち気味ですからリアガラス裏からでもある程度見えます.またこのカメラは信号をトランスミッタで飛ばすので,チューナーが動けば配線無しで画像が見られるということもいいところでしょう.
問題は,リアガラスがプライバシーガラスのために濃色となっていることですが,これはカメラがAGC(自動露出調整)でなんとかしてくれます.ただし暗いときにどこまで粘るか,というあたりは変わってきますし,荷室に白っぽいものを置いているとガラスの反射でそれが写り込み,外が見えづらくなります.
実際の取り付けで問題になるのは,どこに取り付けるのかという点もありますが,やはりカメラの電源をどこから取るかでしょう.よくある手はバックランプ(後退灯)から電源を取る方法ですが,この方法だと前進するたびにカメラの電源が切れチューナーが砂の嵐になりますし,前進しながら駐車場との位置関係を確認するのには使えません.バックにシフトしてからも,電源がカメラに入り画像が安定するまで(自動露出調整が落ち着くまで)に数秒を要するという問題もあります.そこでACCから電源をとることにしました.では次にどこからACCを取るかです.ボディからドアまで引き回してもいいですが,出来たらドア内で完結させたいものです.そこでディーラーで配線図を見せてもらい,リアドア内にACCが来ているかどうか見てみると,ありました,リアワイパーのところまで来ています.ワイパースイッチを一瞬ONにして,すぐにOFFにしても,ワイパーはちゃんと格納位置まで動いてから動作を停止しますが,その間の動力供給のためにリアワイパーまでACCが来ているのでした.ちなみに配線色は青−黄色の線です(リアワイパーには4ピンのコネクタがありますが,一方の端が青−黄色のACCです.もう一方の端は黒色で,アースになっています).そこでこのコネクタから電源のACCとアースを取りました.
この写真は,ワイパーのコネクタ脇から電源を引き出したところです.ドア内張りを全て剥がし,ウォータープルーフフィルムを剥がし(写真では少ししか剥がしていませんが,作業中はもっと剥がしています),エレクトロタップで電源を取りました.そこからハイマウントストップランプへの配線と並行するように配線しています.
作業中に気づいた点について以下に記します.
カメラの取り付け位置ですが,ハイマウントストップランプの脇だとタイヤで視野が大幅に蹴られるし,反対の端だと像が偏りすぎる(カメラが端により過ぎるのと,リアガラスの湾曲でカメラが少し外を向く)ので,ハイマウントストップランプとドア端の中間あたりにつけました.ただし端の角の部分につけても,カメラを傾けて中央付近を見えるようにはできるので,それでもいいかもしれません.出来るだけリアタイヤの後ろが見えるようにしたいか,それとも画像が傾かず直立して(水平線が水平線として)写ることを優先するか,好みでしょうね.
気になるカメラの視野ですが,路面で言えば,ボディのバンパー後端から 40cm ぐらい,リアタイヤからだと 20cm ぐらいのところまで見えます.ただしスペアタイヤ側はタイヤで大幅に蹴られるので,スペアタイヤの裏はどうしても死角になります.どちらにしてもカメラがあると無いとでは大違いですので,深追いせずにこれで満足しています.
購入したカメラは,自動車用リアカメラとしては画角が狭く,左右60度,上下45度,対角75度というものです.しかしそもそもタイヤやリアワイパーなどで蹴られる部分が大きいので,あまり画角が広くても意味なさそうです(背後の遠方が見えるかどうかの違いはありますが,あまり意味ありませんね・・).逆に画角が広いために画像がほとんど歪まないのはいいところです.
画質は色が浅めで,特に暗いときに顕著な感じがします.感度はそれほど高くないので,晩はほとんど見えませんが,後退時の後退灯と,ブレーキング時のブレーキランプで照らされれば,白っぽい物体はよく見えます.ただし路面近くで車にも近いと光が十分当たりませんのでよく見えません.また,路面に平行なものより,輪止めのような立ち上がっているもののほうがよく見えますし,壁面や障害物のようにストップランプに近い高さのものは余裕で明るく見えます.
マルハマのこのカメラの電波の強さは,箱に書いてあるように「非常に強力」かどうかと言われると分かりません.カーナビのテレビチューナーにアンテナを接続しなければ,車体後方のカメラからの電波ではうまく写りません(チューナーのそばに置けば写りますが).車内でテレビを見ることはほとんどないので,車の内外にはアンテナを装着していないのですが,これでは感度不足なので適当な線をカーナビのアンテナ端子に接続し,車内のカーペット下に這わせています.これで写るようになっていますが,要改善点かもしれません.
かといって仮にカメラからの電波が強すぎるのも問題でしょう.このマルハマのカメラは出力のチャンネルを4種類 (13, 15, 25, 29ch)に切り替えられますが,私の車のカーナビとの組み合わせですと,29ch にセットすると電波がカーナビのGPS信号と干渉し,衛星がほとんど補足出来なくなります(13ch ですと全く影響ないと言えると思います).このカメラからの電波はあまり綺麗ではないようで,不要輻射が多い(設定したチャンネル以外にもうっすらと映像が写るチャンネルがある)のも問題と思いますが,これ以上電波が強いともっとカーナビへの影響が大きいでしょう.カーナビの取扱説明書には「衛星が補足出来ない場合」のQ&Aとして「テレビで 54ch を受信しているとき」というものがあり,カーナビとセットのテレビ受信回路からの不要輻射(電波の送信ではない)であってもカーナビへの影響があることが暗に指摘されています.どうしても問題があるときは,バックカメラへは,取り付け説明書の通りに「ギアをバックに入れたときだけ」電源が入るように配線すればいいと思います.または有線タイプのカメラも画質以外にGPSとの相性という点で優位だと言うことが出来るかもしれません.また他の無線式カメラではどうなのか気になるところではあります.ともあれ,13ch にセットしておくと問題ないので,これ以上の深入りはしないことにします.
カメラを装着して1年半ほど暮れたある日,カメラが写らなくなりました.電源投入を示す赤いLEDも消灯しているので電源の配線の接触不良かと思い調べましたが,カメラまでちゃんと電源が届いている様子.故障と言うことで取り外しました.
別のカメラを購入しようと調べてみると,マルハマのカメラは以前買ったときのようには売っておらず,MCD-25T も楽天やオークション等では見あたりません.別の機種(車に装着するには適さない形状)なら在庫処分で大量に売られていたりするのですが・・悔しいので壊れたカメラを分解してみると,ほどなく電源回路のチップ抵抗が半田不良のため,接触したりしなかったりという状態であることがわかりました.半田付けをやり直して修理完了.自動車本体の電子回路は,人命が関わることから通常の電気製品とは信頼性や品質管理が大幅に異なるのですが,この手の製品はもちろんそこまでのものではないようです.